米国大口需要家の電力調達事例

本コラムの見出し

5つの工場と1つのオフィスビルを持つ自動車部品製造会社。この会社は上場企業です。

過去の調達方法

各地域のユーティリティと呼ばれる電力自由化前に独占的に電力を供給していた電力会社(以下「ユーティリティ」)から電力を購入し、月毎に変動する燃料費調整連動型プランで支払いを行っていました。

課題

この会社は自動車メーカーに対し、大量の部品を固定価格で販売していました。電力コストは製造コストの約8%を占めていましたが、電力会社の電気料金は毎月変動し、これにより会社のコストも変動したため、売上の利益予測が困難となり、会社の株価にも影響を与えていました。

計画

自動車部品会社は、様々な電力の調達オプションを理解して多くの電力会社と交渉するには手間もかかると考え、エネルギー調達のコンサルティング会社を雇って支援を受けることにしました。会社はコンサルティング会社に過去の電力使用量データ(いわゆるメーターデータ)と電力会社からの請求書情報を提供しました。コンサルティング会社は分析を行い、自動車部品会社が検討するための電力調達オプションをまとめました。

そのオプションは以下の通りです

  • 従前の月次で変動する燃料費調整連動プランで電力会社からの購入を継続する。
    いわゆる「何も変更しない」戦略。
  • 複数の電力会社(現在取引しているユーティリティを含む)にRFPを提出し、1年、2年、または3年先までの使用電力量に対して完全固定価格の提示を求める。
  • 複数の電力会社(現在取引しているユーティリティを含む)にRFPを提出し、一部(例:50%等)の予想使用電力量に対して1年、2年、または3年の固定価格を求め、固定化部分を超える変動需要に対しては変動価格での提示を求める。

コンサルティング会社はまた、電力会社についてデューデリジェンスを行い、以下のような基準に基づいて評価しました:

  • 財務体力(十分なバランスシート)と評判
  • 顧客からの苦情について規制当局に確認
  • 電力会社が卸電力取引所(スポット市場)電力先物市場の双方で取引が可能であること確認。両市場での取引ができないと、その電力会社は固定価格プランを提案できない可能性があります。

コンサルティング会社が適切な電力会社のリストを作成した後、その電力会社に対して、自動車部品会社の情報と電力使用量データを提出し、電力会社に上記の3つのオプションの1つまたは全てに入札するよう要請しました。

結果

ユーティリティは全て、オプション1(燃料費調整)の提案を提出し、各場所で異なる計算式を用いていました。。

3つの電力会社(ユーティリティ以外)はオプション2とオプション3に基づいて入札しました。これらの入札は、会社の全ての工場に対して同一の固定電力単価を提案しました。

コンサルティング会社は全てのRFP結果をまとめ、自動車部品会社が提案の違いとリスクの評価を行えるように分析を行いました。

自動車部品会社はオプション2、つまり2年間の完全固定価格プランを選択しました。この選択は、内部での予算編成とコスト管理の容易さが評価されたものです。

その後、自動車部品会社は新しい電力会社と新たに電力供給契約を締結しました。

次のステップ

自動車部品会社は、顧客のサステナビリティ要件に適合するために、3年以内に温暖化ガスの排出量を削減する必要が出てきました。

完全固定価格契約を締結された後、コンサルティング会社と一緒にはPPA(電力購入契約)ベースで再生可能エネルギーを調達するための計画を立て始めました。